ネットで買った電気ケトルを返品したら、その商品は捨てられるのだろうか。Amazonは2026年8月28日、返品された商品や修理済みの商品を安く売るセールを発表した。「Second Chance Deal Days」という、今回で2回目の企画である。
大事なのは値引きではない。Amazonは戻ってきた箱を開け、商品を調べ、状態に合わせて値段を付ける。この裏側の仕事があるから、返品商品をもう一度売れる。この記事では、その順番と、会社が環境への配慮を語る前に決めるべきことを見ていく。
用語メモ
- Second Chance Deal Days:返品された商品や修理済みの商品を安く売る、Amazonの期間限定セール。
- Amazon Resale:返品品や開封済みの商品をAmazonが調べ、傷などを示して売る場所。
- Amazon Renewed:Amazonが認めた販売会社が商品を整備し、動くことを確かめて売る場所。
返品された商品は、調べてから四つの行き先へ分けられる
返品された電気ケトルがAmazonの拠点に届く。そこで、すぐセールに並ぶわけではない。Amazonの欧州部門の説明では、まず箱を開け、商品と付属品を確かめる。その後、大きく四つの行き先へ分ける。
- 未使用で問題がなければ、新品として売る
- まだ使えるなら、傷や不足品を示してAmazon Resaleで売る
- Amazon以外の会社へ売るか、必要とする団体へ寄付する
- それも難しければ、材料として再利用するか、エネルギーに変える
電子機器なら、前の持ち主のデータを消し、正しく動くかも確かめる。もう一度売る商品には、傷や足りない付属品を書く。「新品同様」から「可」まで状態を分け、値段を変える。
こうして、何が入っているかわからない返品箱が、買う人の選べる商品へ戻る。
2025年の初回セールは、欧州5カ国で7日間開かれた。Amazonは6000万点を超える商品を用意し、新品の希望小売価格から最大50%引きにした。希望小売価格とは、メーカーが販売価格の目安として示す金額である。
2026年は欧州で10日間に延ばし、メキシコとブラジルにも広げた。米国の大型セールにも専用の売り場を置いた。返品を売る取り組みが、一度だけの試みではなくなったのである。
安いだけでは、返品された商品は選ばれない
Amazonは2025年、欧州5カ国の1万人を対象に調査を行った。調査を実際に進めたのは、Amazonが頼んだ外部の会社である。中古品を買う人の主な不安は、商品の状態、保証、返品の条件だった。
買う人が知りたいのは三つだ。どれくらい傷があるのか。すぐ壊れたら誰が対応するのか。届いた商品に納得できなければ返品できるのか。
Amazon Resaleは傷や不足品を示し、状態に合わせて値段を変える。Amazon Renewedは、Amazonが認めた会社が商品を整備する。どちらもAmazonの返品ルールを使える。
欧州連合(EU)でも、物を直して長く使いやすくする新しいルールがはじまった。2026年7月31日から、保証期間中に交換ではなく修理を選ぶと、保証が少なくとも12カ月延びる。保証が切れた後も、対象商品はメーカーへ修理を頼める。
Amazonのセールが、この制度によって生まれたとは確認できない。ただし、商品を長く使うための条件をはっきりさせる点は同じである。
注意も必要だ。6000万点と最大50%引きは、Amazonが発表した数字である。6000万点すべてが売れたわけではない。最大50%引きは、平均の値引きでもない。
返品全体の何割をもう一度売れたのかも不明だ。商品を使える期間がどれだけ延びたか、ごみがどれだけ減ったかもわからない。よく売れたとしても、それだけで環境に良いとは言えない。
返品商品を売る会社が、先に決める3つのこと
1. 返品された後の行き先を決める
「物を長く使う」と広告に書くだけでは、返品箱は動かない。新品として売るのか、傷を知らせて安く売るのか、寄付するのかを先に決める。
担当者が同じ基準で選べるかを確かめたい。ブランディングは、会社の考えを実際の体験へ変える仕事だからだ。
2. 値段の前に、傷と保証を伝える
買う人は、安さだけを見ていない。傷の場所、足りない部品、壊れたときの対応、返品できる期間を商品ページに書く必要がある。セールを考える前に、問い合わせを誰が受けるかまで決められているかを確認する。
3. 売上と、ごみが減った量を分けて測る
返品商品が売れた数は、セールの成果である。ごみや新品の生産が減った量は、社会や環境への効果だ。二つは同じ数字ではない。
ここでは、ブランディングとマーケティングを分けて考える視点が役立つ。売上、もう一度売れた割合、商品の使用期間、ごみの量を別々に記録する必要がある。
Sources / 参考資料
Amazon Europe, “Amazon launches first-ever Second Chance Deal Days” (2025-09-03)
Amazon Europe, “Inside Amazon's European returns centres” (2026-06-04)
Amazon Sustainability, “Waste and circularity”
European Commission, “Right to repair: New consumer rights for easy and attractive repairs” (2026-07-31)
