欲しい部屋の飾りを探し、気に入った画像を自分用のボードへしまう。Pinterestは、10代が人前で投稿し続けるより、こうした検索と保存に進みやすい場所をつくっている。

2026年9月1日、同社は10代の使い方と製品設計を公表した。コメントは初期設定でオフ。13〜15歳のアカウントは非公開だけで、知らない人から見つけられにくい。安全対策を本人の注意だけに任せず、公開や接触が起きにくい初期設定にしたことが要点である。

用語メモ

  • Pin(ピン):Pinterestで見つけた画像や動画などの内容。保存して後から見返せる。
  • ボード:Pinをテーマ別に整理する場所。「部屋」「服」「料理」のように分けて使う。
  • 非公開アカウント:承認したフォロワーだけがプロフィールやボードを見られる状態。
  • 相互フォロー:二人がお互いをフォローしている状態。10代のメッセージはこの関係に限られる。

Pinterestの10代向け安全機能は、公開・コメント・連絡を最初から狭める

Pinterestが示した初期設定は三つある。10代のアカウントは非公開が標準で、13〜15歳は公開へ変更できない。知らない人が利用者検索から見つけることもできない。16〜17歳は非公開が標準だが、本人が公開へ変えられる。

次に、10代のコメントは初期設定でオフになっている。メッセージは相互フォローの相手に限られ、プロフィールやボードを見られるのも本人が承認したフォロワーだけだ。13〜15歳では、三日後または新しいフォロワーが五人増えた時点で切れる専用リンクを通じ、相手を承認する仕組みもある。

これは「危険な相手に気をつけよう」という注意文の追加ではない。見知らぬ人に見つかる、反応される、直接連絡されるという入口を、初期状態で狭める。利用者が設定画面を開かなくても安全側から始まる点が重要である。

ただし、年齢を正しく把握できるか、設定が嫌がらせをどれだけ減らしたかは、この発表だけでは分からない。公開されたのは機能と自社調査であり、被害件数の前後比較や第三者による検証ではない。

広告で稼ぐPinterestは、滞在時間より検索・保存を10代の中心行動に置いた

Pinterestは売上のほぼ全てを広告から得る。2026年4〜6月の月間利用者は6億4,000万人、売上は11億7,970万ドルだった。それでも同社は、10代向け設計を「滞在時間より質」と説明する。長く見続けてもらうことを唯一の目標にしていない、という立場である。

同社は、10代の一人当たりの再保存が64%、検索が44%、ボード整理が68%高いと説明した。アクティブな10代利用者の77%超が検索欄を使うともいう。数字は、眺め続けるより、目的を持って探し、保存し、分類する使い方を示している。

一方、比較対象の年齢、国、調査期間、標本数は本文から確認できない。「検索や保存が多いから心身に良い」「安全機能が利用を増やした」とは言えない。分かるのは、Pinterestが製品と説明の両面で、検索と保存を10代向けの中心行動に置いたことまでである。

YouTubeの再生回数が最初の一画面で決まる事例では、公開された数が内容理解と一致しない問題を扱った。Pinterestの設計は逆に、外から見える反応を減らしても、検索や保存という内側の行動を残す。ブランド側も、コメント数だけで利用の深さを判断しない方がよい。

10代向けの製品とブランド施策を考える3つの学び

1. 安全方針より、最初に選ばれている設定を見る

規約に「安全を重視する」と書くだけでは、接触の入口は変わらない。非公開、コメントオフ、相互フォローだけの連絡は、利用者が何もしないときの状態を変える。10代向け製品を評価するときは、標準設定と、公開へ変える手順を確かめたい。

2. 公開の反応以外に、目的ある行動を置く

コメントやフォロワーを増やす施策は、知らない人へ見つかる機会も増やす。Pinterestで10代へ届けるなら、検索語に合う情報、後で使える手順、ボードへ残したくなる資料をつくる。見る時間ではなく、検索後の保存や次の行動を測る方が設計と合う。

3. 安全機能と健康効果を分けて説明する

初期設定は確認できる事実である。一方、安心感や心身への効果には別の調査が要る。企業の自社調査を使う場合は、対象、比較方法、因果関係の限界を添える。安全を売り文句にする前に、検証できる機能と、まだ確かめられない効果を分ける必要がある。

Sources / 参考資料