生成AIの回答を一件ずつ開くと、参照リンクの並びにプレスリリースが混じっている。その頻度を81,895件の回答で数えた調査が公開された。
引用URL全体に占めるプレスリリースの割合は2.20%にとどまる。ところが回答を単位に数えると、15.05%が少なくとも1本のプレスリリースを出典に挙げていた。
小さい数字と大きい数字は矛盾しない。URLの海のなかでは希少でも、答えを組み立てる場面では一定の頻度で選ばれている、ということである。
そして選ばれた先は偏っている。引用されたプレスリリースURLの60.5%は、PR TIMESのドメインだった。
2.20%と15.05%は、同じ調査の別の面
調査はAI検索の可視性を分析するOptyino Labが実施した。期間は2026年4月21日から7月8日まで、120本のプロンプトを9つのモデルに投げ、81,895件の回答を集めている。
回答から重複を除いた引用URLは704,963件。うちプレスリリースと判定されたURLは15,512件だった。割合にすると2.20%である。
一方、回答を単位に数え直すと像が変わる。プレスリリースを1件以上引いた回答は12,322件、全体の15.05%にあたる。同じ母集団を、URLで割るか回答で割るかの違いにすぎない。
ただし広報の実務にとって意味を持つのは後者である。読者が触れるのは一つの回答であって、その裏側にあるURLの総数ではない。
同じ数字でも、URL全体のなかの希少性として紹介するか、回答への到達率として紹介するかで印象は逆になる。他社の分析を引くときは、分母がURLと回答のどちらなのかを先に確かめたい。
引用のされ方でも差が出た。出典リンクとして現れた比率が15.05%だったのに対し、本文中の自然なリンクとして現れた比率は0.63%にとどまる。約24倍の開きがある。
この二つは、読者から見える位置が違う。前者は回答の下に並ぶ参照一覧であり、後者は説明文のなかに埋め込まれたリンクである。クリックされる確率も、文脈の伝わり方も同じではない。
プレスリリースは、文章の流れに溶け込む素材としてよりも、根拠を示す欄に置かれる素材として扱われている。引用のされ方には、素材ごとの役割が現れる。
引用率はモデルによって14倍ひらく
モデル別の内訳は、平均値だけを見ていると気づけない差を含んでいた。最も高いのはChatGPTのGPT-5 miniで42.84%である。
GPT-5.2が27.33%、Perplexityが21.45%、GoogleのAIモードが20.68%と続く。AI Overviewは12.81%だった。
下位はGeminiの9.60%、Grokの8.03%、Claudeの6.00%、Copilotの2.90%である。上位と下位では14倍以上の差がある。
つまり「AIに引用されるか」は、素材の質だけで決まる問いではない。どのモデルの回答を測るかによって、同じリリースの評価が一桁変わる。
同じGoogleでも、AI Overviewの12.81%とAIモードの20.68%では倍近い差がある。要約がどう組み立てられるかは、AI Overviewsの仕組みを押さえておくと読み解きやすい。
自社の露出をひとつのツールだけで確認していると、実態を大きく外す可能性がある。測定の設計が、そのまま結論の形を決めてしまう。
差の理由は、学習データや検索連携の設計にあると考えられる。ただし調査は外形的な観測であり、内部の重み付けまでは分からない。断定できるのは、測る場所を一箇所に絞ると誤差が大きいという点だけである。
引用元の60.5%はPR TIMESだった
引用されたプレスリリースURL15,512件のうち、9,381件がPR TIMESだった。全体の60.5%にあたる。

上位5ドメインの合計は69.4%、上位10ドメインで74.8%に達する。残りの多数のドメインが、四分の一ほどを分け合っている計算になる。
配信先の選択が、そのまま引用されやすさの差につながっている。ただしこれは、PR TIMESに出せば引用されるという意味ではない。
内容による差を示した調査もある。Tech Knowledge Baseは70社を超えるPR TIMES記事を対象に1,056回のAI検索テストを行い、引用された526件のテキストを分析した。
「満足度ランキング2026」型の問いでは、引用元に占めるPR TIMESの割合が96%に達した。一方で「クレジットカードのおすすめ」型の問いでは、公式サイトが26%を占めている。
96%と26%の差は、リリースの巧拙よりも問いの性質を映している。第三者による集計を求める問いには配信サービス経由の記事が、商品の選択を求める問いには公式サイトが引かれやすい。
同じ調査では、企業規模による差も出ている。中堅企業の記事が引用された割合は78%だったのに対し、大手チェーンは30%にとどまった。知名度が高いほど引かれる、という関係にはなっていない。
問いの型が変われば、AIが取りにいく場所も変わる。ランキングや調査結果のように出典の明示が要る問いでは、プレスリリースが選ばれやすい。
配信先の集中は、裏を返せば一点への依存でもある。PR TIMES以外の経路を持たない場合、そのドメインの扱いが変われば自社の露出も一緒に動く。
配信本数の次に、何を記録するか
同じOptyino Labは、調査レポートの引用についても数えている。9,715件の回答のうち、レポートや論文が引かれたのは4.4%にとどまった。
ただし問いの型で分かれる。導入判断に関する問いでは21.8%、今後の見通しでは20.2%まで上がり、一般知識の問いでは1.6%だった。引用元の85.7%は学術機関や調査機関である。
根拠が必要な問いにだけ、根拠のある資料が呼ばれている。プレスリリースの15.05%という数字も、同じ構造の裏返しとして読める。
限界も明らかにしておきたい。いずれもプロンプト設計に依存した観測であり、モデルは更新され続ける。ここにある数字は、時期を区切ったスナップショットである。
引用される側から見れば、これは文章の書き方の問題でもある。数字と出典と日付が一段落に揃っていれば、そのまま根拠として抜き出せる形になる。逆に、複数の段落にまたがった主張は切り取りにくい。
それでも、記録する対象を置き換える理由にはなる。広報の成果表に載せる数字を、次の三つに寄せていく余地がある。
- 配信本数ではなく、出典欄にリリースが載った回答の数
- 単一ツールの結果ではなく、モデルを分けて測った引用率
- 露出の総量ではなく、どの問いの型で引かれたか
検索側の条件についても、確かめられる範囲は限られている。LLMO対策の多くは、Googleの公式条件に含まれないで整理したとおり、公開されている要件と巷の施策には隔たりがある。
KPIをどう組み替えるかは、技術広報のKPIで扱った論点とも重なる。記事本数から先へ進むには、数えられる形にした中間指標が必要になる。
広報の物差しは、掲載メディア数から「どの問いに対して、どのモデルが、どの一文を引いたか」へ移りつつある。次の四半期に何を数えるかを、いま決め直しておきたい。
Sources / 参考資料
