サイバーエージェントのGEOラボが2026年9月4日、生成AIの利用実態調査の最新回を公表した。検索手段として生成AIを使う人の割合は52.3%だった。
同じ調査で、検索エンジンを使う人の割合は86.9%である。二つの数字は同じ母集団に対する利用率で、合計が100%になる種類のものではない。
つまり多くの人が、両方を使っている。問題は、そのうちどちらにどれだけ寄っているかである。
生成AIの検索利用率は、YouTubeなど他のプラットフォームを上回った。GEOラボはこれを、検索エンジンに次ぐ二番目の検索プラットフォームだと位置づけている。
52.3%という数字が測っているもの
調査は2026年8月7日から10日にかけて、全国15歳から69歳の9,278人に対して行われた。実施はマクロミルである。
サンプル数は前回までと同じ9,278人である。回を追うごとの比較ができるように、条件を揃えて続けられている。
この52.3%は、Google検索のAI Modeを含む数字だ。単体の生成AIサービスだけを数えているわけではない。
AI Modeは、Google検索の画面の中でAIが直接答えを返す機能である。別のアプリを開く必要がないぶん、使っている自覚が薄い。
この定義の取り方は結果に効く。専用サービスだけを数えれば、割合はもっと低く出る。
内訳を見ると、ChatGPTが30.6%、AI Modeが28.4%、Geminiが23.2%である。前回2026年2月の調査からの伸びは、それぞれ1.5ポイント、2.6ポイント、3.6ポイントだった。
AI Modeの28.4%は、単体サービスのGeminiより高い。検索の中に置かれた機能のほうが、先に広がっている。
伸び率ではChatGPTが最下位になっている。首位は変わらないが、差は縮んでいる。
調査は自己申告のアンケートであり、実際の検索ログではない。使ったつもりの回数と、実際の回数はずれうる。
この調査は2025年5月から続いており、今回が4回目にあたる。第一弾の21.3%から、1年3か月で31ポイント上がった。
回ごとの数字は21.3%、31.1%、37.0%、52.3%である。直近の半年で15.3ポイント上がっており、この幅は過去のどの回よりも大きい。

世代の差が縮んでいる
世代別では、10代が80.6%、20代が61.0%と若い層が引き続き高い。ただし今回の特徴は、上の世代の動きにある。
10代の80.6%は、五人に四人が使っている計算になる。この層にとって、AIで検索することはすでに例外ではない。
40代が50.2%となり、初めて過半数を超えた。50代は46.1%、60代は39.6%である。
30代の数字は公表されていないが、40代と20代のあいだに位置すると読める。10代から60代まで、途切れずに階段状に並ぶ形になった。
前回比の伸びは、10代が4.8ポイント、40代が4.5ポイント、50代が4.3ポイントだった。世代による差が、伸びの側ではほとんどない。
若年層の現象という説明は、もう使えない。上の世代が同じ速さで追いついている。
同じ調査の前回では、10代と20代の伸びに鈍化が見られていた。今回はその二つも再び上がっており、頭打ちの兆候は出ていない。
サービス別に見ると、10代のAI Modeが48.8%、Geminiが38.2%と高い。検索の画面に組み込まれた機能ほど、意識せずに使われている。
検索の画面にAIが入ってくると、利用者は選んだつもりがないまま使うことになる。普及の速さは、その入り方の差で説明がつく。
検索の半分以上を移した人が46.6%
利用率よりも重い数字がある。検索エンジンと生成AIの両方を使う人のうち、検索の「半分以上」を生成AIに切り替えたと答えた人が46.6%いた。
利用率は「一度でも使ったか」に近い。切り替えの割合は「どちらを主に使うか」に近く、行動の重心を示す。
2025年5月の同じ設問では30.1%だった。試しに使う段階から、主に使う段階へ移った人が増えている。
半分以上という言い方は幅が広いが、境目としては分かりやすい。主な手段がどちらかを、答える側が自分で判断している。
用途別では、比較と検討の場面で生成AIの利用が目立つ。価格の比較が15.5%、宿泊施設の比較が14.8%、物件条件の比較が14.5%である。
いずれの項目も、情報収集の段階より比較・検討の段階のほうが高い。これは前回までの調査でも一貫している。
いずれも意思決定の直前にあたる。ここが移っているのは、企業にとって軽い話ではない。
情報収集の段階だけなら、要約で済んでも実害は小さい。比較の段階で要約が使われると、候補に入るかどうかがそこで決まる。
日常の検索でも、情報収集で22.6%、行動移行で24.6%が生成AIを最初に使うと答えている。どちらも前回から上がった。
行動の側も動いている。AIの回答に出たURLをクリックした経験がある人は61.0%、おすすめされた商品を自分でも調べ直した人は77.3%だった。
実際に購入や利用に至った人は58.7%である。前回の47.5%から11ポイント以上上がった。
ただしこれは経験の有無を聞いた数字で、頻度ではない。一度でもあれば「ある」になるため、時間が経つほど自然に上がる性質を持つ。
企業が見るべきは利用率ではない
52.3%という数字は、自社では動かせない。動かせるのは、その52.3%の人が見る回答に自社が出てくるかどうかである。
同じGEOラボの前回調査では、AI Overviewの表示率が月ごとに大きく揺れていた。6月の77%をピークに、7月から10月にかけて48%から34%まで下がっている。
表示率が下がった時期にも、利用率のほうは上がり続けていた。二つの数字は別々に動く。
表示されるかどうかは検索側の都合で変わる。だから表示率を追うより、表示されたときに引用される形を整えるほうが実務的だ。
引用のされ方には偏りがある。生成AIが引用したプレスリリースの配信元は、6割が一つの媒体に集まっていた(生成AIが引用したプレスリリースの60.5%はPR TIMESだった)。
その形については、すでに事業者側の定義も動き始めている(オウンドメディアは「AIが参照するデータソース」になった)。
自社の主要なクエリで何が出ているかは、手元で確かめられる(AI Overviewsとは何か)。数字を眺めるより、実際の回答画面を見るほうが早い。
測る側の指標も見直しが要る。流入数だけを見ていると、要約の中で名前が出ている状態を数えられない。
指名検索の量や、比較記事での取り上げられ方のほうが、いまは実態に近い。数え方を変えないと、変化そのものが見えなくなる。
検索エンジンの利用率も、2025年5月の91.9%から86.9%へ下がっている。ただし5ポイントの低下は、置き換えというより併用の広がりを示す幅である。
検索エンジンは当分なくならない。なくならないまま、その手前に一つ層が増えた状態が続く。
変わったのは検索の有無ではなく、答えに行き着くまでの経路である。経路が変われば、置いておくべき場所も変わる。
Sources / 参考資料
